Should Rich Nations Help the Poor? (Global Futures)

Should Rich Nations Help the Poor? (Global Futures)

  • 作者: David Hulme
  • 出版社/メーカー: Polity
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: ペーパーバック
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 ぼくは将来、国際協力だとか社会起業関連のキャリアに進みたいと考えていて、おそらく働くことになるのは途上国かどこかで、つまりは日本ではないだろうなと漠然と思っている。

 それで、たまにそういう「貧困と戦いたいんですよね」みたいな話をすると、「日本もいっぱい問題があるから、海外のことよりそっちが先じゃない?」とか「なんで日本じゃなくて海外の知らない人のために働くの?」みたいなご意見を頂戴することがある。(ちなみに両親や親しい友人たちからは「なんであなたが安定した仕事を捨ててそんな危ないことしないといけないの?」なんて言われるわけだけどそれはまた別の機会に)

ぼくは性格がそんなに良くないので、気づいた奴がやれば良いんじゃない?という意味合いを込めて「じゃあそれはあなたがやれば良いんじゃない?」なんて言ってしまいがちなんだけど、この類の質問は将来そういう仕事の面接でいかにも聞かれそうである。

それに、そういう仕事は、一見無理ゲーなところから「お、なんとかなりそうだぞ⁉︎」という希望を見出すところまで持って行くもので、つまりは投げ出したくなることの連続で、かつ、派手さとは無縁の世界なわけで、何が言いたいかって、困難に打ち克つ信念だとか、確固たる思考軸というのか簡単にぐらつかない芯のようなものが必要で、そのあたりの理論武装をする必要があると思っている。

そんなわけで、他の人はどんなふうに考えてるんだろうと、以前、こんな本も読んだのだけど、

日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか (朝日新書 83)

日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか (朝日新書 83)

  • 作者: 草野厚
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2007/11/13
  • メディア: 新書
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 正直、何言ってるかわからなかった。結局積読にしてしまったように思うんだけど、ODAの原資は国民の税金で、税金を国民のためでなく国外の外国人のためな使う理由として、ようは Do the right thing みたいな、強い者が弱い者に手を差し伸べるのは当然で、人として正しいことをすべきだみたいなことを冗長に延々と書いていたように思う。

それは確かに圧倒的に正しいと思う、間違いなく。

けれど、ぼくの心が汚れてるっていうのもあるが、ただのキレイゴトに聞こえなくもないし、ちょっと弱い。賛同は得られるけれど、実際の具体的な行動が伴うかというと疑問がつく。きっと多くの人を巻き込めない。人間はそんなに上手くできていないし、リソースには限りがあるのだから。前述の通り、国内にも問題は山積している。

 

欧州は中東難民を積極的に受け入れた。それが正しいことだから。けれど、余りにも多くの難民が押し寄せると門戸を閉じ、弾き返そうとしている。もちろん直接的にではなく、トルコで行き来を封鎖させたり、海を越えてイタリアにやってきた人はイタリアで堰き止めてみたり。

「正しいことをすべきだけど、私たちに迷惑がかかるのはごめんだわ」というのが本音だろう。誰しもみんな良い人でありたいと思っているけれど、自己犠牲をできるかというと(ぼくも含めて)ほとんどの人ができない。口からはキレイゴトを吐きながら身体は問題から全力で遠ざかっていく。傍観者を決め込む。

 

話がズレてきたから戻すと、ぼくは具体的な行動に移させるためには、人間のちょっと黒いところ、欲望にも訴えかける必要があると思っている。インセンティブというやつだ。

 

さて、この援助における先進国のインセンティブとはなんだろうか。国としては途上国に恩を売るだとか、もっと具体的には資源利権の確保だとか色々あるだろう。

 

本書の中で、援助の仕方はもちろん、気象変動や(先進国内部を含む)格差についても多く語られている。

 気象変動は非常に身近でホットな話題だ。だってゲリラ豪雨だとか35℃以上の気温なんて、ほんの数年前までほとんどあり得なかった気がするから。

地球の気温が上昇すると南極の氷が溶けて海面が上昇する。海面が上昇して不利益をモロに被るのはなんと開発途上国。いわゆる貧乏な人たち。

住むところがなくなって行き場を失った彼らは難民となる。その後の流れは既にぼくたちはシリア難民のニュースで知っている。

そう、先進国に安心で豊かな生活を求めて殺到するのだ。そうなれば、先進国の人間は不利益を被る、新たな火種がくすぶる。

そのコストと今から気象変動の問題に真剣に取り組むコストはどっちが安いんだと筆者は説いている。実に分かりやすい。理に適っている。取り組まねばと多くの人を巻き込める。結果として気象変動に待ったをかける対策が生まれるかもしれない。

格差問題についても、ある程度までの格差は許容範囲内だろうけれど、行き過ぎると良くない。金持ちから政治家への多額の献金によって献金を受けた政治家が当選し、金持ち優位の政治がされ、金持ちの関心のあることのみ扱われるようになりかねない。

それに反旗を翻したのがウォール街占拠運動だったわけで、経済が成長しても金持ちの資産ばかり増えるだけで、そのおこぼれのトリクルダウンが全くないじゃないかとキレたのがヒルビリーと呼ばれる貧乏な白人たちだったわけで、そのうねりの中で生まれたのがトランプ大統領なのだ。彼は保護主義に走ろうとしていて、それはつまり開いた市場を閉じようとしていて、結果的に金持ちに迷惑をかけることになる。

そして、これは政治に限らず、援助の世界でも同様の問題が起こりうる。

ビルゲイツは莫大な資産の一部を財団を通して慈善事業に投じている。業績も素晴らしい。ある国の公衆衛生政策は事実上、ビルゲイツが決めるのだそうだ。政府高官よりも彼の方が詳しいから。

さて、ここがこの問題のポイントなんだけど、ぼくも最初は「ビルゲイツすげえな」としか思わなかった。彼が勉強熱心なのは誰しもが知るところであるから。

けれど、少し冷静になって考えてみると怪しくなってくる。だって一介の金持ちが国の政策を決定してることになるんだから。国の政策を決定するのは政治家で、その政治家は国民の投票によって民主的に選ばれ信任される。

そりゃあ民主主義はやたらと時間がかかった機動的じゃないだとか色々問題はあるけれど、これが相手がビルゲイツでなかったら?

避難用コンドームの配布には金をだすけれど、衛生的な飲み水のための浄化装置には金を出さない、支援しないと言ったら?住民が求めているのは飲み水なのに。いくら支援を求めても金持ちのお眼鏡に適わなければ、いつまで経っても支援は受けられない。金持ちの都合で持たざる者たちは振り回されてしまう。金持ちには責任がないから「やーめた」で終わってしまうのだ。支援継続のためにご機嫌を取らねばなるまい。

一体なにをやってるんだろうという気になってくる。

じゃあ、一体どんな援助の仕方が良いのだろう?

 途上国に金銭的支援を行うと、もちろん全てではないが、現地の政治家なんかがどんどんピンハネして行き、本来の目的のためにお金が使われる頃には思わず涙する額になっていたりする。

それでも、わずかでも届くのであればとそれらを黙認してエンドに少しでも多く届くことを祈ることもできるけれど、そのピンハネされた分は富める者をますます裕福にさせ、格差や利権の固定につながるわけで褒められたことじゃない。

 

それでも、貧困削減は目覚ましいスピードで進んでいる。援助の理想的なやり方やアイデアに関しても本書の中で語られている。

さすがにそこまで書くと、読む気を失せらせてしまいかねないのでこの辺で。もっと気になる人はぜひ本書を。 ページ数もそれほど多くないので英語の勉強にもうってつけ(たぶん)。

 

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